ワコムからCintiq Pro 16の新しいモデル、2021モデルが出ましたね…
性能アップしたの?どんな違いあるの?
主に接続面や液晶面、扱いやすさで進化してるね。
ってことで今回は、
◆Wacom Cintiq Pro 16 (2021)の違い/比較
◆何がどう変わったのか
◆16型液タブとしての比較
この辺り、気になったので突っ込んでまとめてみました。
同じように気になってる方のヒントになれば嬉しいです。
❶,Cintiq Pro 16 (2021)【旧モデルとの違いを比較】
2021新モデル↓
旧モデル↓
2021モデルと旧モデル5つの違い
- 応答速度
- 色域カバー率
- エクスプレスキーの有無
- 接続方式・対応解像度
- スタンド対応
大きく上記5つが違っている….
1-❶,応答速度は旧モデルより遅い
旧モデルの方が描画追従速度が速い
↓
◆『応答速度』数値比較
Cintiq Pro 16 (2021) | 旧モデル |
30ms | 25ms |
応答速度は、
液晶画面で描く時の追従感(遅延/ラグ)などに影響してくる部分で、
数値が小さいほど性能が高く、画面での色の移り変わり追従速度が上がります……
25msでも速い方ってわけではなく、液タブでの標準的な速度…
液タブでは視差と同じくかなり重要な指標になる部分なんだけど新モデルの方が遅くなっとる…….
※過去に応答速度の下調べなしにワコム全機種描き試してみたことがあり、
結果、25ms以下は微妙なんだなと認識した経緯あり…
詳しくはこちらを参照↓
30msって他メーカーと比べても遅い方に入ってしまう数値なんですよね….
ただ、
遅延やラグ感って応答速度だけで体感が決まるってものではないのも確かで。。
- 液タブを動かすPCスペック
- 読取速度
- 読取精度
- 液晶パネルの精度
これらの組み合わせ・バランスで描きやすさ感って変動するし、
そして個人の描画スタンスによっても感覚が違うので一概には言えない部分ではある..
じっくり描くタイプの方は速度より視差の方がフックになる部分かもしれない..
その場合なら視差軽減加工(ダイレクトボンディング加工)がなされているCintiq Proシリーズは素晴らしい。
この辺り性能について気になる場合はこちらも参照してみてください↓
1-❷,色域カバー率は高め
2021モデルの方が色再現力・適応幅高め
↓
◆色域カバー率比較
色域規格 | Cintiq pro 16 (2021)↓ | 旧モデル↓ |
Adobe RGB (CIE1931) | カバー率98% (typ) | カバー率85% 面積比94% |
Adobe RGB (CIE1976) | 記載なし | カバー率90% 面積比94% |
※ typ:typicalの略(標準値ってこと)
※CIE1931
(国際照明委員会 (CIE)が1931年に定義した色空間)
※CIE1976
(国際照明委員会(CIE) が1976年に採択した色空間)
色域カバー率とは、違う環境での色再現・色表現に関わる部分…
色の表現幅や再現力に関しては実際に『カラーキャリブレーション』を使って全く同じ環境で合わせてから比べてみないとわからない部分でもあるのですが、
旧モデルより高めではあるようですね…
単なる色域の面積比で記載されてるパタンもあり、実際のカバー率は低い液タブも多いのですが、
ワコムの場合は公式サイトでも明確に『カバー率』と記載があるだけあって、ワコムの液タブ全体的に比較的安定して高い評価を受けてる印象。。。
※色域規格などの詳しくはこちらも参照↓
▶︎色域(sRGB/AdobeRGB/NTSC)
1-❸,エクスプレスキーが本体に搭載
2021モデルは本体にショートカットキーを割り当てられる
旧モデルはデバイスオプションになる。
↓
◆エクスプレスキー比較
Cintiq Pro 16 (2021)↓ | 旧モデル↓ |
左右4つ 計8つ本体に搭載 | 本体にはなし (デバイスオプション) |
旧モデルは本体についてないので、ショートカットキーを割り当てて操作したい場合は
PCのキーボードで対応するか、オプションで『ExpressKey Remote』などのデバイスを購入する必要がある。
※デバイス自体は純正のものでなくとも対応でき、価格が安いものを使うこともできます。
対して
2021モデルには本体の左右のサイド少し裏側に合計8つのエクスプレスキーが搭載されている。
ショートカットキーが本体表面についてるより描画エリアのみでスッキリしてる方が描きやすいと感じる方も多いと思うのですが、
2021モデルは表面ではなく両サイドの裏側に搭載されてるので、その辺りも考慮されたデザイン。
そのほか、旧モデルにあった『タッチメニュー』もなくなって一掃スッキリ…
この辺り、ワコムの液タブ全体としても新しいデザインを取り入れられたもので、
これまでのユーザーニーズに答えてくれた感じですね…
外観やニュアンスは公式動画でわかると思う↓
1-❹,接続が簡単で対応表示解像度も豊富になった
2021では簡単接続で4K表示が可能
旧モデルはPC接続が複雑&接続方式によっては2Kになる。
↓
◆PC接続方式比較
Cintiq Pro 16 (2021)の接続
『Wacom Link Plus』というワコム特有の同梱アイテムを使わなくてよくなり、スッキリと簡単に4K出力できるようになった↓
- USB Type-Cケーブルでの接続
- USB Type-CからUSB Type-A変換ケーブル+HDMIケーブルでの接続
(ケーブルは同梱)
が可能になった。
そのほか、対応表示解像度も大幅に広がっている…↓
800×600@60Hz (SVGA) / 1024×768@60Hz (XGA) / 1280×720@60Hz (HD) / 1280×1024@60Hz (SXGA) / 1600×1200@60Hz (UXGA) 1920×1080@60Hz (FHD) / 2560×1440@60Hz (QHD) / 3840×2160@60Hz (4K UHD)
Cintiq Pro 16 旧モデルの接続
これまでのCintiq Pro 16はPCとの接続パタンが4通りあり、同梱されるWacom Link Plusを経由する接続だったり、
そして4K表示させられないパタンなどもあったりで、やや複雑。。。
所有してるPC環境によってはややっこしかった…↓
◆『USB Type-Cでの接続』パタン図↓
このパタンならスッキリと楽なんですが….
◆『HDMIポートで接続』パタン図↓
上図のように、『Wacom Linl Plus』というハブが同梱されはするものの、
HDMIポートでの接続は4K出力ではなく、2K (WQHD2560X1440)になる…
そして別途『HDMIケーブル用意』が必要。
◆『DisplayPortでの接続』パタン図↓
この場合も別途で『DisplayPort to Mini DisplayPortケーブル』が必要。
◆『Mini DisplayPortでの接続』パタン図↓
1-❺,アームスタンド取り付けも対応された
2021モデルでは『Wacom Ajusrable Stand』や他社製の『アームスタンド』もつけられる
旧モデルも折りたたみ式スタンドは搭載されてるが、角度調整を繊細にできるアームスタンドには対応されていない。↓
◆スタンド対応比較
新モデルスタンド↓ | 旧モデルスタンド↓ | |
内臓 スタンド |
折りたたみスタンド 2段階調整可能 (4°/20°) |
折りたたみスタンド 2段階調整可能 (5°/20°) |
オプション スタンド |
VESAマウントがあり、他社製のも利用可能 |
13型でも使えるやつで、 三段回調整 (18°/34°/48°/平置き2.8°) |
Cintiq Pro 16 (2021)↑ |
旧モデル↑ |
以上の5つが2021モデルと旧モデルとの大きな違い…
1-❻,Cintiq Pro 16 【旧モデルと2021モデル性能・仕様比較表】
まとめて違いを比較できるよう一覧表にしてみました↓
Cintiq Pro 16 (2021) | Cintiq Pro 16 旧モデル | |
ペン | Wacom Pro Pen 2 | Wacom Pro Pen 2 |
筆圧 | 8192 | 8192 |
傾き 検知 | ±60 レベル | ±60 レベル |
応答 速度 | 30ms | 25ms |
読取 分解能 | 0.005mm (5080lpi) | 0.005mm (5080lpi) |
色域 | Adobe RGB 98% | Adobe RGB 90% |
ダイレクト ボンディング※ | ◯ | ◯ |
視野角 | 176° | 176° |
ショート カットキー | 8 | オプション |
タッチ 機能 | ◯ | ◯ |
本体 サイズ | 410X 266X22 | 410X 265X17 |
描画 エリア | 15.6㌅ 344X194 | 15.6㌅ 344X194 |
最大 解像度 | 4K 3840X2160 | 4K 3840X2160 |
液晶 | IPS AGガラス | IPS AGフィルム |
コント ラスト比 | 1000:1 | 1000:1 |
接続 | USB Type-C HDMI+ USB-A | USB Type-C 他WacomLinkPlus経由 |
スタ ンド | 内臓 4°/20° VESAマウントあり | 内臓 5°/20° |
Cintiq Pro 16 (2021) | Cintiq Pro 16 旧モデル |
※ダイレクトボンディングとは
視差を軽減するディスプレイとガラスの圧着加工(iPhoneの画面もコレ)
詳しくはこちらも参照↓
▶︎視差・ダイレクトボンディング(フルラミネーションディスプレイ)
❷,Pro 16 (2021)と【Cintiq 16】との違い/比較
CintiqにはCintiq ProシリーズとCintiqシリーズがあり、Cintiqの方が価格安いのでそれとの違いも気になりますよね…
仕様内容の差は確かに結構あります。
Cintiq 16の違いは、
- 視差軽減のダイレクトボンディング加工はなし
- エクスプレスキーはオプションのみ
- マルチタッチ機能はなし
- 画面解像度はPro16 より低い
(4K出力はできない)
んが、
- 描画追従速度は25msあり、Pro 16(2021)モデルより速い
- 加工はないが視差は少なめ
- 価格はProの半額弱
- ペンも同じ
描き味はかなり良いのにワコムの中では価格ひかえめなんす…
◆Cintiq Pro 16(2021)とCintiq 16の性能/仕様比較
Cintiq Pro 16 (2021) | Cintiq 16 | |
ペン | Wacom Pro Pen 2 | Wacom Pro Pen 2 |
筆圧 | 8192 | 8192 |
傾き 検知 | ±60 レベル | ±60 レベル |
応答 速度 | 30ms | 25ms |
読取 分解能 | 0.005mm (5080lpi) | 0.005mm (5080lpi) |
色域 | Adobe RGB 98% | sRGB 96% |
ダイレクト ボンディング※ | ◯ | X |
視野角 | 176° | 176° |
ショート カットキー | 8 | オプション |
タッチ 機能 | ◯ | X |
本体 サイズ | 410X 266X22 | 422X 285X24 |
描画 エリア | 15.6㌅ 344X194 | 15.6㌅ 344X194 |
最大 解像度 | 4K 3840X2160 | HD 1920X1080 |
液晶 | IPS AGガラス | IPS AGフィルム |
コント ラスト比 | 1000:1 | 1000:1 |
接続 | USB Type-C HDMI+ USB-A | 3in1ケーブル (USB-A/HDMI/電源) |
スタ ンド | 内臓 4°/20° VESAマウントあり | 内臓 19° VESAマウントあり |
Cintiq Pro 16 (2021) | Cintiq 16 |
色域、色再現の面でシビアなものを要求される仕事がメインで、カラーキャリブレーションでガッツリ色あわせが必要という場合ならそれが可能なProが必要でしょうけれど、
そうでないのであれば『Cintiq 16』はかなり現実的価格でしかも描き味もよく、ワコムでの16型では狙い目のモデルに思う。
※【Cintiq Pro 16 旧モデル】と【Cintiq 16】のガッツリ比較も参照↓
❸,【他メーカーの16型】と比較
他メーカーもかなり進化してきていて価格も微妙に上がってきてはいるものの、スペックからして考えるとものすんごく安い…
- Wacom
- XP-Pen
- HUION
- GAOMON
で比較してみました。
◆Cintiq Pro 16(2021)と他メーカーの16型液タブ比較
Cintiq Pro 16 (2021) | XP-Pen Innovator 16 | HUION Kamvas Pro 16 Plus | GAOMON PD156 PRO | |
筆圧 | 8192 | 8192 | 8192 | 8192 |
傾き 検知 | ±60 レベル | 60° | ±60° | ±60° |
応答 速度 | 30ms | 16.4 ms ≥220 RPS | 25 ms >220 pps | 25 ms 266 pps |
読取 分解能 | 0.005mm (5080lpi) | 5080 lpi | 5080 lpi | 5080 lpi |
読取 精度 | 記載 なし | ±0.01㌅ (±0.25mm) | ±0.3 mm | ±0.5 mm |
色域 | カバー率 AdobeRGB 98% | sRGB 92% | sRGB 145% | NTSC 88% |
視差 軽減※1 | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ |
視野角 | 176° | 178° | 178° | 178° |
プレス キー | 8 | 8+ リングホイール 仮想 ホイール | – | 9+ ラウンドキー |
マルチタッチ | ◯ | – | – | – |
本体 サイズ | 410X 266X 22 | 443X 256X 9 | 402X 257X 13 | 442X 274X 12 |
描画 エリア | 15.6㌅ 344X194 | 15.6㌅ 344X194 | 15.6㌅ 344X194 | 15.6㌅ 344X194 |
解像度 | 3840X 2160 | 1920X 1080 | 3840X 2160 | 1920X 1080 |
表示色 | 1677 万色 | 1670 万色 | 1670 万色 | 1670 万色 |
液晶 | IPS AG ガラス | IPS | IPS AG ガラス | IPS AG フィルム |
接続 | USB-C HDMI+ USB-A | 3in1 HDMI | USB-C 3in1 | USB-C |
スタ ンド | 内臓 4°/20° VESAマウントあり | ポータブルス タンド付 | 付属 20~45° | 付属 14.5 ~45° |
Cintiq Pro 16 (2021) | XP-Pen Innovator 16 | HUION Kamvas Pro 16 Plus | GAOMON PD156 PRO |
視差軽減加工では、※1)他メーカーは『フルラミネーションディスプレイ』などの記載になっていますが、
基本的にはダイレクトボンディング加工と同じく『ガラスの隔たりを最小にする視差軽減のための圧着加工』です。
そして、もはやペンの充電も必要ないものばかり….
更に、応答速度ではXP-Penの液タブが速めで、14msあたりのが続々存在している…
HUIONもKamvas Proが更に進化して4K出力&素晴らしい内容になってる上に、このサイズでAndroidにも対応……
性能面で言えば、
- 描画追従速度
- 視差軽減加工
- 色域カバー率
どれを一番重視したいのかがキーになってくるかなと…
❹,2021モデルは16型液タブとしてどうか?
比較調査結果としては
- ワコムでの『プロ仕様範囲の16型モデル』が欲しい
- USB Type-CのオルタネモードまたはThunderbolt 3対応のPCを所持している
この場合は旧モデルの方が良いかなぁと…
ただし、旧モデルはすでに在庫薄状態….
また、本当にプロ仕様のものを求めるなら、思い切って『Cintiq Pro 24』の方が断然良い…..
Amazon
▶︎Wacom Cintiq Pro 24 ペンモデル
このクラスになると文句なしの素晴らしさ……
(試しましたが描き味滑らかでサクサクな上に広々…)
価格が。。。となったり、Cintiq Proの方の視差のなさをまだ体感してない段階なのであれば、
Amazon
▶︎Wacom Cintiq 16 FHD DTK1660K1D の方でも満足できるのではないかなと思う….
この辺りの詳しくは下記のページ参照↓
ただ、
- 描画速度がそんな速くはない(じっくり描くタイプ)
- ワコムが好き&16型で4K出力させたい
- プレスキーは本体についてて欲しい
- 視差のほぼない機器に慣れてしまっている
という方にはすんごく魅力的であると思う。
以上です!
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ということで、とにかく、
楽しいクリエイトあれ!
しゃらんるあぁあああああああ!
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